装備、脱ぎます。

子育て

なっとくんは今日も盛大に保育園に行きたくない。 
園に入るまでが一番大変よ。

車の中から出たがらない彼を
なんとか説得。

「とりあえず休むなら言いに行こう?」

この言葉は開始早々「そうやって連れてかれるから嫌だ」という
彼の賢さによって撃ち抜かれるのだが
他に方法がないので何とかこすり続けている。

車を降りてから園の門を抜け
玄関まで通常歩いて3分とか?

普段なら困らない道も
こういう日はまさに地獄絵図よ。

「いーやーだーぁだぁ!
連れてかないで!行かない行かない!」

私は誘拐犯ですか?

「大丈夫ですか?」
「すみません、びっくりさせちゃって」

「なっとくん、大丈夫?一緒に行こ?」
「…ぃやぁ…いやぁ…」

「ねねちゃん、ごめんね
声かけてくれてありがとね」

これを機に顔なじみになったママさんも、数人いるくらい
泣き虫なっとくんの登園は派手である。

いやぁ…客観視するとこれ
かわいそうよね、なっとくんが。

こんなに嫌がるなら
休ませたらいいのにねって思う。
わしも。

なんとか玄関まで連れて行くと
いつもの先生が待ってる。
途中で会ったねねちゃんもちょうどいた。

先生「はい、なっとくん行くよー」

なっとくん「ぃぃぃやぁあーーーーー」

ねね「ほらなっとくん。あきらめよ?
いつもママいなくなるとすぐニコニコなくせに。」

先生「お母さん行ってらっしゃい!」

ねね「今日もねねとおままごとしよ?」

なっとくん「ママぁー行かないで!
置いてかないで!ママ!ママぁぁぁぁ!」

ねね「ねぇほら、なっとくん、パンツ見えちゃうよ?
ねねがズボンおさえててあげるね。」

先生「あーねねちゃん!逆逆!
それだとズボン下がっちゃうよ?」

ねね「えー?あっごめんなっとくん
パンツ見えちゃった。」

なっとくん「まぁまーー行かないでー」

カオスなのか、コントなのか。

とりあえず先生、ねねちゃん
よろしくお願いします。

深々、ほんとに深々頭を下げる。

私が園の門を出るまでずっと
なっとくんの泣き声は響いてた。

車に乗るまでの間に
知り合いママに声をかけられる。

「大変だねー毎日?」

「ここ数日続いてますねぇ」

「あそこまで叫ばれるとねw
私なら休ませちゃうわ」

「ねw
まぁ上の子の時もあったし
もうちょい様子見かなー」

「そっか。またねー」
「またねー」

いつも通りの会話して解散。
帰り道、自宅の少し手前の土手にクルマを停める。

ふー。もう、いいかな?
一旦、装備脱ぎますよ?

エンジンを切り、ハンドルに両腕を任せ
そのうえに額を沈める。

しばらくボーッとしてると自然と
涙がポロポロポロポロ、落ちる。

うぅぅぅぅーーーーーーーー
きっつ。

「ママーーー行かないでぇ」
アタマに響く叫び声。

悲しくない、わけない。

理屈を抜きにしたら
あんなん耐えられないわ。

こんちゃんのときもあったけどね。
慣れないわね、いまだに。
子どもが泣いてんだもの。
なんとかしたくなる。

でもさ、いろいろあんのよ。

行ってみたら楽しかった日とか。
大好きな友達もいる。
帰ってきて、得意げに話してくれる日だってちゃんとある。

もちろん、親の都合だってある。

ストレスもある。
でも、楽しいもある。

行けるように手伝うか?
休ませた方がいいか?

いつも綱渡りよ。

いろいろいろいろあって。
そんで、今日は結果
泣き虫なっとくんのハデハデ登園劇だったわけで。

だから、劇が終わったら一旦休憩。

「ママ」も「大人」も「親」も、
やらなきゃいけないことも、考えなきゃいけないことも
全部一旦下ろして、
ただふーっと息する時間を作る。

じゃなきゃ、わしはやっとれん。

夕方、お迎え。

「ママー楽しかった!
明日は絶対保育園行く!ぜーったい!」

…そうかいそうかい、了解した!

ママは明日も装備しとくわ!

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