「安心感」が食べたかったらしい。

ひとコマ

若い頃は、外食とおつまみとお酒とたばこで生きていたおむつ。です。

でもママになってからは、

「ごはんって大事なんだなぁ。」

そう思うようになりました。

だから、わが家は一週間単位で献立を考えます。

栄養、食べやすさ、子どもの好み、値段。

最近は食費が高すぎて頭を抱えながら。

物価高なんて、禿げちゃえばいいのに。


うちの子たちは朝から夕飯を楽しみにしています。

「今日なに?」

「麺?」

「揚げ物?」

「シチュー?」

好きな献立だとガッツポーズ。

苦手そうな日は、

「じゃあもう一個のおかず、マカロニサラダにして!」

と交渉が始まります。

子どもって、本当に「食卓」を楽しみにしてます。


でも。

週に一日だけ、リアクションが薄い日があります。

それが煮物の日。

「今日はじゃがいもとちくわとこんにゃく煮るよ。」

「ふーん。」

「へー。」

以上。

特に喜びもしない。

嫌がりもしない。


ところが夜になると、不思議なことが起きます。

二人とも黙って食べる。

「おいしい?」

「普通。」

「味どう?」

「いつも通り。」

そう言いながら、気づけばお皿は空っぽ。

なっとくんは決まって、

「ちくわとこんにゃくだけ、おかわり。」

と言う。

派手なリアクションはない。

「また作って!」もない。

でも、必ず完食する。

ずっと不思議でした。


その謎が解けたのは、ある日のこと。

本当は煮物の日だったんですが、

だしを全部こぼしました。

やらかした。

急きょ献立を変更。

子どもたちも好きな白身魚のカレーバターソテー。

「これなら大丈夫。」

そう思って出したら、娘のこんちゃんが一言。

「あれ?今日、煮物じゃなかった?」

事情を話すと、

「全然いいよ。これ好きだし。」

と言ったあと、

少し考えて、こう続けました。

「でも、煮物がよかったな。」

「なんか安心感が違うんだよね。」

安心感。

なんだそのパワーワード。

横からなっとくんも、

「ちくわのやつ食べたかった。」

と一言。

その日は白身魚の方が、見た目も華やか。

味も分かりやすくおいしい。

それでも子どもたちは煮物を求めたのです。


思えば今の子どもたちは、

「おいしそう」があふれている時代を生きています。

コンビニもスーパーも、

色鮮やかで、味が濃くて、

「食べてみたい!」と思うものがたくさんある。

煮物は、その反対。

茶色い。地味。映えない。

それなのに。

子どもたちが求めていたのは、

「おいしい」じゃなくて、

「安心する。」でした。


なんだか、人も同じかもしれません。

ドキドキする人も素敵だけど、

一緒にいると安心する人って、

気づくと隣にいてほしくなる。

……あ、でも両方ある人が一番いいか。


「おいしい!」って言葉ももちろんうれしい。

でも、

何も言わずに黙々と食べて、

気づけばお皿が空っぽ。

そんなごはんを、子どもたちはちゃんと身体で選んでいた。

そのことに気づけた日でした。





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